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示談書の作成は

目次

 示談は契約ですから、口約束でも有効に成立しますが、示談が成立したら後日の証拠のために、通常は「示談書」という書面を作成します。後日になって示談によって確定した事実と異なる事実が判明した場合でも、既に合意した示談契約の効力を争うことはできません。

 しかし、判例は、「示談契約当時に予想できなかった不測の再手術や後遺症が発生した場合には、示談契約でその損害についてまで損害賠償請求権を放棄した趣旨と解するのは当事者の合理的意思に合致するものとはいえない」として、被害者の損害賠償請求を認めています。

 示談書作成の実務では、将来の予想できなかった後遺症に備えて「本件事件が原因となって、将来、被害者○○○○に後遺症が発生した場合は、本件示談金とは別途にその損害の一切を補償する」というような示談条件を入れておきます。

 示談成立後に示談書を作成しても、示談契約で合意した金額が支払われない場合もあるので、支払いを確保するために示談書を公正証書(示談契約公正証書)にしておく必要があります。この場合、「債務者(及び連帯保証人)は、本契約による金銭債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する旨陳述した」旨の強制執行認諾条項を入れておけば、裁判を提起しなくても強制執行ができます。

 特に、交通事故の加害者が任意保険に入っていない場合は、示談契約を公正証書にしておくことをお勧めします。

 加害者が任意保険に入っていれば、示談代行サービスが附帯しているので、被害者は、加害者側の任意保険会社の担当者と示談交渉をすることになりますが、示談金は任意保険会社から確実に支払われます。

 しかし、加害者が任意保険に入っていない場合は、任意保険会社は示談交渉の代行をすることができないので、被害者は、直接加害者本人と示談交渉をしなければなりません。示談が成立しても加害者が支払いに応じない危険もあるので、示談契約を公正証書にしておく必要があります。

 示談書の書き方には決まりはありませんが、一般的には次の事項を記載します。

①示談当事者(被害者と加害者)
②事故発生日時
③事故発生場所
④事故原因と事故の状況
⑤示談金の額、支払期日、支払方法
⑥支払が遅延した場合
⑦清算条項
(※公正証書の場合は、強制執行認諾文言)
⑧その他(将来、後遺障害が発生した場合など)

傷害事故の書式例

示談契約公正証書

 ○○○○(以下「甲」という。)及び○○○○(以下「乙」という。)は、下記の自動車事故(以下「本件事故」という。)による乙の甲に対する損害賠償について次のとおり示談契約を締結する。
 
(本件事故の表示)
 1 本件事故発生日時 令和○年○月○日午前・午後○時○分
 2 本件事故発生場所 ○県○市○町○丁目○番○号先県道○号線路上
 3 本件事故の内容  上記1の日時に上記2の場所において、甲が青信号に従って横断歩道を通行中に、乙運転の普通自動車が赤信号を無視して甲に衝突し、甲は頭部挫傷、左下腿骨骨折の傷害を負った。  

(示談の内容)
1 乙は、甲に対して本件事故の損害賠償として総額金○○○万円の支払義務があることを認め、既払金をを除く残金金○○○万円を令和○年○月○日までに甲の指定する次の預金口座に振り込むことにより支払う。なお、振込手数料は乙の負担とする。
 金融機関名 ○○銀行○○支店
 預金種別  普通預金
 口座番号  1234567
 口座名義人 ○○○○
2 乙が支払いを遅延したときは、年3%の割合による遅延損害金を甲に対して支払う。
3 甲は、乙に対するその余の損害賠償請求権を放棄する。
4 本件事故により将来、甲の後遺症が発生したときは、乙は、本件示談金とは別にその損害一切を賠償する。
5 本件事故に関し、甲及び乙との間には、本示談書に記載した事項以外には、何らの債権債務の関係も存在しないことを確認する。

(強制執行認諾)
 乙は、本契約による債務の履行を遅滞したときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。

本旨外要件

                            ○県○市○町○丁目○番○号
                                職業 ○○○○
                                 甲 ○○○○             
                               昭和○○年○月○日生
                            ○県○市○町○丁目○番○号
                                職業 ○○○○
                                 乙 ○○○○
                               昭和○○年○月○日生                                                

以下省略

死亡事故の書式例

示談契約公正証書

 被害者○○○○(以下「甲」という。)の相続人○○○○(以下「乙」という。)及び○○○○(以下「丙」という。)は、下記の自動車事故(以下「本件事故」という。)による丙の乙に対する損害賠償について次のとおり示談契約を締結する。
 
(本件事故の表示)
 1 本件事故発生日時 令和○年○月○日午前・午後○時○分
 2 本件事故発生場所 ○県○市○町○丁目○番○号先県道○号線路上
 3 本件事故の内容  上記1の日時に上記2の場所において、甲が赤信号の信号待ちで停止中に丙運転の普通自動車が甲運転の普通自動車に衝突し、甲は頭蓋骨骨折により死亡した。  

(示談の内容)
1 本件事故につき、丙は、乙に対して、甲の負傷及び死亡に関して発生した治療費、休業損害、逸失利益、葬儀費用、慰謝料その他の一切の損害賠償として、既払金(自賠責保険金3千万円)のほかに金○千万円の支払義務があることを認め、これを令和○年○月○日までに乙の指定する次の預金口座に振り込むことにより支払う。なお、振込手数料は丙の負担とする。
 金融機関名 ○○銀行○○支店
 預金種別  普通預金
 口座番号  1234567
 口座名義人 ○○○○
2 丙が支払いを遅延したときは、年3%の割合による遅延損害金を甲に対して支払う。
3 乙は、丙に対するその余の損害賠償請求権を放棄する。
4 本件事故による甲の負傷及び死亡に関する損害賠償は、本示談契約の成立により一切解決済みとし、今後、乙は名目の如何を問わず何らの請求もしない。

(強制執行認諾)
 丙は、本契約による債務の履行を遅滞したときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。

本旨外要件

                           ○県○市○町○丁目○番○号
                                職業 ○○○○
                                 甲 ○○○○ 
                              昭和○○年○月○日生
                          ○県○市○町○丁目○番○号
                                職業 ○○○○
                                 丙 ○○○○ 
                              昭和○○年○月○日生

以下省略

物損事故の書式例

示談契約公正証書

 ○○○○(以下「甲」という。)及び○○○○(以下「乙」という。)は、下記の自動車事故(以下「本件事故」という。)による乙の甲に対する損害賠償について次のとおり示談契約を締結する。
 
(本件事故の表示)
 1 本件事故発生日時 令和○年○月○日午前・午後○時○分
 2 本件事故発生場所 ○県○市○町○丁目○番○号先県道○号線路上
 3 本件事故の内容  上記1の日時に上記2の場所において、甲が赤信号の信号待ちで停車中に乙運転の普通自動車が甲所有の普通自動車に追突し、乙が甲の当該自動車を破損させた。  

(示談の内容)
1 乙は、乙の過失により甲所有の自動車に金○○万円の損害が生じたことを認める。
2 甲乙ともに本件事故の過失割合は、乙が100%、甲はゼロ%であることを認める。
3 乙は、本件事故による損害賠償金○○万円を本示談契約締結日の翌日から週間以内に甲の指定する次の預金口座にに振り込むことにより支払う。なお、振込手数料は乙の負担とする。
 金融機関名 ○○銀行○○支店
 預金種別  普通預金
 口座番号  1234567
 口座名義人 ○○○○
4 乙が支払いを遅延したときは、年3%の割合による遅延損害金を甲に対して支払う。
5 本件事故による甲所有の自動車の破損に関する損害賠償は、本示談契約の成立により一切解決済みとし、今後、甲は名目の如何を問わず何らの請求もしない。

(強制執行認諾)
 丙は、本契約による債務の履行を遅滞したときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。

本旨外要件

                           ○県○市○町○丁目○番○号
                                職業 ○○○○
                                 甲 ○○○○ 
                              昭和○○年○月○日生
                          ○県○市○町○丁目○番○号
                                職業 ○○○○
                                 乙 ○○○○ 
                              昭和○○年○月○日生

以下省略