トップ>ひき逃げや無保険車による交通事故の被害に遭った場合は

ひき逃げや無保険車による交通事故の被害に遭った場合は

目次

みかん

政府の自動車損害賠償保障事業

 ひき逃げ事故や無保険車による事故の被害者には、政府の自動車損害賠償保障事業(以下「政府保障事業」という。)によって、自賠責保険とほぼ同様の基準に基づき保障金が支払われます。

 政府保障事業は、自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)第72条に基づき、ひき逃げ事故及び無保険車による事故のため、自賠責保険による損害のてん補を受けることができない被害者に対し、政府が加害者に代わって被害者の受けた損害のてん補を行うものです。
 政府保障事業は、自賠責保険(共済)の対象にならない損害は、支払いの対象になりません。
 ① 加害者に賠償責任がない場合
 ② 自動車の運行によって死傷したものではない場合
 ③ 自損事故で賠償責任を負う加害者がいない場合
 ④ 被害者が「他人」でない場合

 ひき逃げ事故とは、加害運転者が逃走して不明の場合の事故のことで、歩行者をひいて逃げた場合だけでなく、自動車同士が接触・衝突して被害者を負傷させた後逃走した場合なども含みます。

 無保険車による事故とは、加害車両に有効な自賠責保険(共済)の契約が締結されていなかった場合や、事故前に自賠責保険(共済)の期限が切れていた場合のように、自賠責保険(共済)が付いていない車が加害車両になった事故をいいます。

 政府保障事業では、健康保険や労災保険などの社会保険からの給付を先に受ける必要があります(東京高判平成20年4月16日損害てん補金請求控訴事件)。社会保険からの給付や加害者側の賠償責任のある者(無保険車両の運転者など)からの支払があった場合は、その額を差し引いた額が支払限度額の範囲内で支払われます。
 また、自賠責保険と異なり、通常の過失でも過失相殺が適用されます。

 政府保障事業からの支払の可否と支払金額は、政府(国土交通省)が決定し、請求関係書類を提出した損害保険会社(組合)を通じて請求者に支払われます。

保障金請求権の消滅時効

 請求ができる期間が経過した場合は、時効により請求権が消滅します。

請求の区分起 算 点時効期間
傷害事故発生時又は治療時の翌日事故発生時又は治療時の翌日から3年以内
後遺障害症状固定時の翌日症状固定時の翌日から3年以内
死亡死亡した日の翌日死亡した日の翌日から3年以内

保障金請求手続き

 政府保障事業の請求手続きは、各損害保険会社の窓口で行うことができます。
 請求に必要な書類は、損害保険会社に郵送依頼をすれば、請求書類のセットを送ってくれます。

提出書類一覧

請求区分

必 要 書 類


備    考
傷害後遺
障害
死亡
①事故発生時の行動目的
②損害のてん補請求書
③人身傷害補償保険への請求に関する確認書
④戸籍(除籍)謄本死亡の場合
⑤委任契約書の写し又は委任状代理請求の場合
⑥念書死亡による請求で、法定相続人が請求時点で未婚の未成年者の場合
⑦交通事故証明書自動車安全運転センターで入手(①郵便振替、直接窓口申請、③インターネット申請のいずれか)
⑧事故発生状況報告書原則として事故の被害者が作成したもの
⑨同意書事故の被害者の同意
⑩診断書
⑪診療報酬明細書(入院用・入院外用)
⑫薬局の領収書院外処方の場合
⑬医療機関の施術証明書、施術費明細書
⑭健康保険等の被保険者証の写し事故の被害者のもの
⑮通院交通費明細書
⑯その他損害を立証する書類、領収書等
⑰休業損害請求意思確認書
⑱休業損害証明書
⑲家族全員の住民票の写し続柄が記載されたもの
⑳後遺障害診断書後遺障害等級認定請求をする場合
㉑死体検案書又は死亡診断書死亡の場合
㉒てん補額支払指図書(振込依頼書)
※ ○印は、必ず提出する書類、△印は、必要に応じて提出する書類です。


自動車損害賠償保障事業が行う損害のてん補の基準

みかん

自動車損害賠償保障事業が行う損害のてん補の基準

 損害のてん補額は、損害のてん補の限度額から自動車損害賠償保障法第73条第1項の規定による他の法令による給付額及び同条第2項の規定による損害賠償責任者からの支払額を控除した額又は積算した損害額から同条第1項の規定による他の法令による給付額及び同条第2項の規定による損害賠償責任者の支払額の控除並びに第6の規定による減額を行った額(以下「てん補対象額」という。)のいずれか低い額とする。

第1 傷害による損害
 傷害による損害は、積極損害(治療関係費、文書料その他の費用)、休業損害及び慰謝料とする。
1 積極損害
(1) 治療関係費
① 応急手当費
応急手当に直接かかる必要かつ妥当な実費とする。
② 診察料
初診料、再診料又は往診料にかかる必要かつ妥当な実費とする。
③ 入院料
入院料は、原則としてその地域における普通病室への入院に必要かつ妥当な実費とする。ただし、被害者の傷害の態様等から医師が必要と認めた場合は、上記以外の病室への入院に必要かつ妥当な実費とする。
④ 投薬料、手術料、処置料等
治療のために必要かつ妥当な実費とする。
⑤ 通院費、転院費、入院費又は退院費
通院、転院、入院又は退院に要する交通費として必要かつ妥当な実費とする。
⑥ 看護料
ア 入院中の看護料
原則として12歳以下の子供に近親者等が付き添った場合に1日につき4,200円とする。
イ 自宅看護料又は通院看護料
医師が看護の必要性を認めた場合に次のとおりとする。ただし、12歳以下の子供の通院等に近親者等が付き添った場合には医師の証明は要しない。
(ア) 厚生労働大臣の許可を受けた有料職業紹介所の紹介による者
立証資料等により必要かつ妥当な実費とする。
(イ) 近親者等
1日につき2,100円とする。
ウ 近親者等に休業損害が発生し、立証資料等により、ア又はイ(イ)の額を超えることが明らかな場合は、必要かつ妥当な実費とする。
⑦ 諸雑費
療養に直接必要のある諸物品の購入費又は使用料、医師の指示により摂取した栄養物の購入費、通信費等とし、次のとおりとする。
ア 入院中の諸雑費
入院1日につき1,100円とする。立証資料等により1日につき1,100円を超えることが明らかな場合は、必要かつ妥当な実費とする。
イ 通院又は自宅療養中の諸雑費
必要かつ妥当な実費とする。
⑧ 柔道整復等の費用
免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費とする。
⑨ 義肢等の費用
ア 傷害を被った結果、医師が身体の機能を補完するために必要と認めた義肢、歯科補てつ、義眼、眼鏡(コンタクトレンズを含む。)、補聴器、松葉杖等の用具の制作等に必要かつ妥当な実費とする。
イ アに掲げる用具を使用していた者が、傷害に伴い当該用具の修繕又は再調達を必要とするに至った場合は、必要かつ妥当な実費とする。
ウ ア及びイの場合の眼鏡(コンタクトレンズを含む。)の費用については、50,000円を限度とする。
⑩ 診断書等の費用
診断書、診療報酬明細書等の発行に必要かつ妥当な実費とする。
(2) 文書料
交通事故証明書、被害者側の印鑑証明書、住民票等の発行に必要かつ妥当な実費とする。
(3) その他の費用
(1)治療関係費及び(2)文書料以外の損害であって事故発生場所から医療機関まで被害者を搬送するための費用等については、必要かつ妥当な実費とする。
2 休業損害
(1) 休業損害は、休業による収入の減少があった場合又は有給休暇を使用した場合に1日につき原則として6,100円とする。ただし、家事従事者については、休業による収入の減少があったものとみなす。
(2) 休業損害の対象となる日数は、実休業日数を基準とし、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して治療期間の範囲内とする。
(3) 立証資料等により1日につき6,100円を超えることが明らかな場合は、自動車損害賠償保障法施行令第3条の2に定める金額を限度として、その実額とする。
3 慰謝料
(1) 慰謝料は、1日につき4,300円とする。
(2) 慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内とする。
(3) 妊婦が胎児を死産又は流産した場合は、上記のほかに慰謝料を認める。
第2 後遺障害による損害
後遺障害による損害は、逸失利益及び慰謝料等とし、自動車損害賠償保障法施行令第2条並びに別表第1及び別表第2に定める等級に該当する場合に認める。
等級の認定は、原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行う。
1 逸失利益
逸失利益は、次のそれぞれに掲げる年間収入額又は年相当額に該当等級の労働能力喪失率(別表Ⅰ)と後遺障害確定時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数(別表Ⅱ-1)を乗じて算出した額とする。ただし、生涯を通じて全年齢平均給与額(別表Ⅲ)の年相当額を得られる蓋然性が認められない場合は、この限りでない。
(1) 有職者
事故前1年間の収入額と後遺障害確定時の年齢に対応する年齢別平均給与額(別表Ⅳ)の年相当額のいずれか高い額を収入額とする。ただし、次の者についてはそれぞれに掲げる額を収入額とする。
① 35歳未満であって事故前1年間の収入額を立証することが可能な者
事故前1年間の収入額、全年齢平均給与額の年相当額及び年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額。
② 事故前1年間の収入額を立証することが困難な者
ア 35歳未満の者
全年齢平均給与額の年相当額又は年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額。
イ 35歳以上の者
年齢別平均給与額の年相当額。
③ 退職後1年を経過していない失業者(定年退職者等を除く。)
以上の基準を準用する。この場合において、「事故前1年間の収入額」とあるのは「退職前1年間の収入額」と読み替えるものとする。
(2) 幼児・児童・生徒・学生・家事従事者
全年齢平均給与額の年相当額とする。ただし、59歳以上の者で年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を下回る場合は、年齢別平均給与額の年相当額とする。
(3) その他働く意思と能力を有する者
年齢別平均給与額の年相当額とする。ただし、全年齢平均給与額の年相当額を上限とする。
2 慰謝料等
(1) 後遺障害に対する慰謝料等の額は、該当等級ごとに次に掲げる表の金額とする。
① 自動車損害賠償保障法施行令別表第1の場合
第1級 第2級
1,650万円 1,203万円
② 自動車損害賠償保障法施行令別表第2の場合
第1級 第2級 第3級 第4級 第5級
1,150万円 998万円 861万円 737万円 618万円
第6級 第7級 第8級 第9級 第10級
512万円 419万円 331万円 249万円 190万円
第11級 第12級 第13級 第14級
136万円 94万円 57万円 32万円
(2)① 自動車損害賠償保障法施行令別表第1の該当者であって被扶養者がいるときは、第1級については1,850万円とし、第2級については1,373万円とする。
② 自動車損害賠償保障法施行令別表第2第1級、第2級又は第3級の該当者であって被扶養者がいるときは、第1級については1,350万円とし、第2級については1,168万円とし、第3級については1,005万円とする。
(3) 自動車損害賠償保障法施行令別表第1に該当する場合は、初期費用等として、第1級には500万円を、第2級には205万円を加算する。
第3 死亡による損害
死亡による損害は、葬儀費、逸失利益、死亡本人の慰謝料及び遺族の慰謝料とする。
後遺障害による損害に対するてん補金の支払の後、被害者が死亡した場合の死亡による損害について、事故と死亡との間に因果関係が認められるときには、その差額を認める。
1 葬儀費
葬儀費は、100万円とする。
2 逸失利益
(1) 逸失利益は、次のそれぞれに掲げる年間収入額又は年相当額から本人の生活費を控除した額に死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数(別表Ⅱ-1)を乗じて算出する。ただし、生涯を通じて全年齢平均給与額(別表Ⅲ)の年相当額を得られる蓋然性が認められない場合は、この限りでない。
① 有職者
事故前1年間の収入額と死亡時の年齢に対応する年齢別平均給与額(別表Ⅳ)の年相当額のいずれか高い額を収入額とする。ただし、次に掲げる者については、それぞれに掲げる額を収入額とする。
ア 35歳未満であって事故前1年間の収入額を立証することが可能な者
事故前1年間の収入額、全年齢平均給与額の年相当額及び年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額。
イ 事故前1年間の収入額を立証することが困難な者
(ア) 35歳未満の者
全年齢平均給与額の年相当額又は年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額。
(イ) 35歳以上の者
年齢別平均給与額の年相当額。
ウ 退職後1年を経過していない失業者(定年退職者等を除く。)
以上の基準を準用する。この場合において、「事故前1年間の収入額」とあるのは「退職前1年間の収入額」と読み替えるものとする。
② 幼児・児童・生徒・学生・家事従事者
全年齢平均給与額の年相当額とする。ただし、59歳以上の者で年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を下回る場合は、年齢別平均給与額の年相当額とする。
③ その他働く意思と能力を有する者
年齢別平均給与額の年相当額とする。ただし、全年齢平均給与額の年相当額を上限とする。
(2) (1)にかかわらず、年金等の受給者の逸失利益は、次のそれぞれに掲げる年間収入額又は年相当額から本人の生活費を控除した額に死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数(別表Ⅱ‐1)を乗じて得られた額と、年金等から本人の生活費を控除した額に死亡時の年齢における平均余命年数のライプニッツ係数(別表Ⅱ‐2)から死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数を差し引いた係数を乗じて得られた額とを合算して得られた額とする。ただし、生涯を通じて全年齢平均給与額(別表Ⅲ)の年相当額を得られる蓋然性が認められない場合は、この限りでない。
年金等の受給者とは、各種年金及び恩給制度のうち原則として受給権者本人による拠出性のある年金等を現に受給していた者とし、無拠出性の福祉年金や遺族年金は含まない。
① 有職者
事故前1年間の収入額と年金等の額を合算した額と、死亡時の年齢に対応する年齢別平均給与額(別表Ⅳ)の年相当額のいずれか高い額とする。ただし、35歳未満の者については、これらの比較のほか、全年齢平均給与額の年相当額とも比較して、いずれか高い額とする。
② 幼児・児童・生徒・学生・家事従事者
年金等の額と全年齢平均給与額の年相当額のいずれか高い額とする。ただし、59歳以上の者で年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を下回る場合は、年齢別平均給与額の年相当額と年金等の額のいずれか高い額とする。
③ その他働く意思と能力を有する者
年金等の額と年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額とする。ただし、年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を上回る場合は、全年齢平均給与額の年相当額と年金等の額のいずれか高い額とする。
(3) 生活費の立証が困難な場合、被扶養者がいるときは年間収入額又は年相当額から35%を、被扶養者がいないときは年間収入額又は年相当額から50%を生活費として控除する。
3 死亡本人の慰謝料
死亡本人の慰謝料は、400万円とする。
4 遺族の慰謝料
慰謝料の請求権者は、被害者の父母(養父母を含む。)、配偶者及び子(養子、認知した子及び胎児を含む。)とし、その額は、請求権者1人の場合には550万円とし、2人の場合には650万円とし、3人以上の場合には750万円とする。
なお、被害者に被扶養者がいるときは、上記金額に200万円を加算する。
第4 死亡に至るまでの傷害による損害
死亡に至るまでの傷害による損害は、積極損害〔治療関係費(死体検案書料及び死亡後の処置料等の実費を含む。)、文書料その他の費用〕、休業損害及び慰謝料とし、「第2傷害による損害」の基準を準用する。ただし、事故当日又は事故翌日死亡の場合は、積極損害のみとする。
第5 減額
1 重大な過失による減額
被害者に重大な過失がある場合は、次に掲げる表のとおり、積算した損害額が限度額に満たない場合には積算した損害額に、限度額以上となる場合には限度額に減額割合を乗じた額を減額するものとする。ただし、傷害による損害額(後遺障害及び死亡に至る場合を除く。)が20万円未満の場合はその額を、てん補対象額が減額により20万円以下となる場合は20万円をてん補対象額とする。
減額適用上の 減 額 割 合
被害者の過失割合 後遺障害又は死亡に係るもの 傷害に係るもの
7割未満 減額なし 減額なし
7割以上8割未満 2割減額
8割以上9割未満 3割減額 2割減額
9割以上10割未満 5割減額
2 受傷と死亡又は後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難な場合の減額
被害者が既往症等を有していたため、死因又は後遺障害発生原因が明らかでない場合等受傷と死亡との間及び受傷と後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難な場合は、死亡による損害及び後遺障害による損害について、積算した損害額が限度額に満たない場合には積算した損害額に、限度額以上となる場合には限度額に5割を乗じた額の減額を行う。